
不動産契約書を確認する前に知っておきたい基本
不動産を購入・売却するときには、必ず「不動産契約書」が登場します。金額も大きく、人生の中でも特に重要な契約になることが多いので、「よくわからないけどサインしてしまった…」という状態だけは避けたいところです。ここでは、初めて不動産契約をする方でも押さえておきたい確認のポイントを、できるだけやさしくまとめました。契約書を開く前に、「どんな視点で読めばいいか」を知っておくだけでも、負担がぐっと軽くなります。すべての条文を完璧に理解する必要はありませんが、重要なところを見落とさないように考え方の軸を持っておきましょう。
契約書は「約束を文章にしたもの」
不動産契約書は、売主・買主・仲介会社など、取引に関わる人たちの約束を文章にして残したものです。口頭だけの約束だと、「そんな話は聞いていない」「そういうつもりではなかった」とトラブルになりやすいため、事前に合意した内容を細かく書き出しています。少しでも違和感がある場合は、そのままサインせずに必ず確認と修正をしてもらいましょう。
大事なのは「お金」「リスク」「スケジュール」
契約書全体を確認するときは、次の3つを意識して読むとわかりやすくなります。
・いくら支払って、いつまでに支払うのか(お金のこと)
・どんなトラブルが起きたとき、誰がどこまで責任を負うのか(リスクのこと)
・いつ引き渡しが行われ、いつから住める・使えるのか(スケジュールのこと)
細かい条文は多いですが、この軸を意識するだけでも、「どこを重点的に見ればいいか」がつかみやすくなります。
不動産契約書の確認ポイント① お金と支払い条件
まずは、多くの方が一番気になる「お金」の部分から確認していきましょう。金額の書き間違いや認識のズレは、そのまま大きなトラブルにつながります。事前にもらっている見積書や資金計画書と見比べながら、一つひとつチェックしていくことが大切です。
売買代金・手付金・諸費用の金額
契約書には、物件価格(売買代金)のほかに、手付金や仲介手数料、登記費用などが記載されることがあります。次の点を中心に確認してみてください。
・売買代金の総額
・手付金の金額と支払い時期
・残代金の金額と支払い時期
・固定資産税や管理費などの精算方法
・仲介手数料やその他諸費用の支払い方法
見積書の数字と違いがないか、ゼロが一つ多い・少ないなどのミスがないかも、落ち着いてチェックしておきましょう。
手付金の性質と「手付解除」のルール
不動産契約では、契約時に「手付金」を支払うのが一般的です。手付金には、契約の証拠という意味だけでなく、「一定の条件であれば契約をやめられる」という性質もあります。契約書には、手付金を放棄して契約を解除できる期限や、売主側が倍額を支払って解除できるルールなどが書かれていることが多いので、いつまで・どんな条件で解除できるのかを必ず確認しておきましょう。
ローン特約の内容も要チェック
住宅ローンを利用する場合は、「ローン特約」の条文がとても重要です。ローン審査が通らなかったときに契約を白紙解除できるのか、手付金は全額戻ってくるのか、といった内容が書かれています。どの金融機関・どの条件で申し込む前提になっているのかも含めて、自分が想定しているスケジュールや条件とズレがないか、営業担当者にも確認しながら読み合わせると安心です。
不動産契約書の確認ポイント② 物件の状態とリスク
次に、物件そのものに関する情報や、将来的なリスクに関わる部分を見ていきましょう。あとから「聞いていた話と違う」とならないよう、契約書と重要事項説明書をセットで確認するのがおすすめです。
登記簿上の表示と現況が一致しているか
不動産契約書には、所在地・地番・地目・面積・構造・間取りなど、物件を特定するための情報が書かれています。登記簿に記載されている内容がベースになりますが、リフォームや増築などで現況と異なるケースもあるため、図面やパンフレットと見比べて大きな差がないかチェックしておきましょう。
契約不適合責任と告知事項
中古物件の場合、雨漏りやシロアリ被害、設備の故障など、目に見えない不具合があとから見つかることがあります。契約書には、こうした不具合が見つかったときに売主がどこまで責任を負うのかを定める「契約不適合責任」の条文が入っているので、対象となる不具合の範囲や期間をよく読んでおきましょう。また、「心理的瑕疵」などの告知事項がある場合は、その内容も事前に理解しておくと安心です。
不動産契約書の確認ポイント③ スケジュールと引き渡し条件
取引のスケジュールや引き渡し条件に関する部分も大切です。いつ何をするのかを押さえておくことで、引っ越し準備や各種手続きもスムーズに進められます。自分の生活スケジュールと照らし合わせながら、ムリのない流れになっているか確認していきましょう。
契約日から引き渡し日までの流れ
契約書には、契約日・残代金決済日・引き渡し日など、取引に関する主要な日程が記載されています。一般的には、残代金決済と物件の引き渡しは同じ日に行われることが多いですが、売主側の事情で日程が前後するケースもあります。自分の引っ越しスケジュールや賃貸の退去日と矛盾がないか、カレンダーを見ながら確認しておきましょう。
引き渡し時の状態と費用負担
引き渡しの条文には、「どのような状態で物件を引き渡すか」も書かれています。室内の残置物をどこまで撤去するのか、設備の故障があった場合に誰が修理費を負担するのかなどです。あとから「聞いていなかった」とならないよう、気になる点があれば契約前に営業担当者に質問しておきましょう。
不動産契約書を確認するときのコツ
ここまで、不動産契約書の主な確認ポイントを見てきました。最後に、実際に契約書を確認するときのコツを簡単にまとめます。少し意識するだけで、不安や抜け漏れを減らしやすくなります。
下書き段階で事前に目を通しておく
本契約の当日に初めて契約書を見ると、その場で細かい内容を判断するのは大変です。可能であれば、事前にドラフト(案)を送ってもらい、家でゆっくり目を通しておきましょう。気になる箇所にはメモや付箋を付けておき、当日に担当者へ質問できるようにしておくとスムーズです。
専門家に相談するのも有効
条文の内容がどうしても不安な場合は、司法書士や弁護士など、不動産に詳しい専門家へ相談する方法もあります。すべてを自分だけで理解しようとせず、「ここが心配」「この表現の意味が知りたい」といったポイントを絞って質問してみると、安心感が高まります。
不明点はそのままにせず、必ず質問する
どんなに小さな疑問でも、そのままサインしてしまうのはおすすめできません。「質問して迷惑にならないかな」と心配になるかもしれませんが、納得して契約してもらうことは、仲介会社にとっても大切なことです。遠慮せずに、気になる点はその場で確認しておきましょう。
まとめ 不動産契約書は「納得できるまで確認」が基本
不動産契約書には専門用語も多く、最初は読みづらく感じるかもしれません。しかし、「お金」「リスク」「スケジュール」という3つの軸を意識しながら確認していけば、重要なポイントは絞り込めます。事前にドラフトをもらっておくことや、専門家に相談することも含めて、「納得できるまで確認する」という姿勢を大切にして、不動産取引を安心して進めていきましょう。